特許番号 US.11,994,525.B2 | Inventor: Dr. Atsushi Shimada
困難な膜タンパク質試料のクライオ電子顕微鏡単粒子解析による3D再構成を可能にする技術
電子顕微鏡用グリッドの炭素支持膜の孔に脂質二重膜を直接形成し、膜タンパク質を脂質二重膜中で保持・データ取得するクライオ電子顕微鏡用グリッド調製技術の技術ライセンスを提供します。
特許番号 US.11,994,525.B2 | Inventor: Dr. Atsushi Shimada
電子顕微鏡用グリッドの炭素支持膜の孔に脂質二重膜を直接形成し、膜タンパク質を脂質二重膜中で保持・データ取得するクライオ電子顕微鏡用グリッド調製技術の技術ライセンスを提供します。
従来の膜タンパク質のクライオ電子顕微鏡単粒子解析法の課題を、独自のプロトコルにより解決します。
炭素支持膜の孔に脂質二重層を直接形成するという独自のアプローチが、既存の技術の限界を突破し、データ取得を効率化します。
cryo-LSEMでは、電子顕微鏡用グリッドの炭素支持膜の孔に脂質二重膜を直接形成します。脂質二重膜の厚みは5 nm程度で薄いため、リポソームを用いた技術に比べて氷の厚みを抑え、適切な氷の厚みでのデータ取得を可能にします。
膜タンパク質は脂質二重膜の中に埋め込まれた状態で保持されるため、より生体内に近い環境でデータ取得できます。これにより、生理的環境に近い膜タンパク質の立体構造を捉えることができます。
さらに、独自のプロトコルによりグリッドに膜タンパク質が濃縮されるため、溶液中では微量・低濃度であっても、十分な粒子数のデータ取得が可能になります。
**既存の手法では構造解析のできなかった、アフィニティ精製のみで精製された、0.03 mg/ml の低濃度の、不安定な膜タンパク質複合体試料についても、7.8 Å分解能での3D再構成に成功しています。
炭素支持膜の孔に脂質二重膜を直接形成するという独自のアプローチが、既存手法の限界を突破し、データ取得を効率化します。
この技術は膜タンパク質を対象とします。特に、収量が低くアフィニティ精製までしか対応できない試料、濃縮の困難な試料、高純度調製が困難な試料、膜タンパク質同士が形成する不安定な複合体などに適しています。可溶性タンパク質には本技術は対応していません。
0.1 mg/mlの濃度で1 ulの試料を使用した場合に、ちょうどグリッド一面に密に膜タンパク質が埋め込まれる計算になるため、この濃度の付近での実験を推奨しています。濃度がより薄い場合には、例えば5 ulなど、より多い量の試料を用いればよく、0.02 mg/mlの試料を5 ul用いた場合には、0.1 mg/mlの試料を1 ul用いた場合と同等の結果が期待できます。これまでの実績として、0.03 mg/ml 程度の濃度のアフィニティ精製試料での3D再構成に成功しており、0.02 mg/mlの濃度でのデータ取得の実績もあります。これ以下の濃度でも適切な量の試料を用いればデータ取得できる可能性がありますが、試してはいません。適切なデータ取得に必要な濃度は試料によっても異なりますので、ある程度の範囲での濃度の条件検討が推奨されます。
LSEMでは、負染色試料では、グリッドが乾く際に会合する傾向が強くなるため凝集して見えることがあります。ただcryo-LSEMでの実験用に、適切にグリッドを凍結した場合には、通常の手法よりもむしろ分散性が改善して見えた例もあるため、会合体の形成は、促進されるよりもむしろ抑制される傾向があるのではないかと考えています。またLSEMでグリッドが乾いた場合に形成される会合体は三次元的な凝集体ではなく、原則的に二次元的に膜タンパク質同士が横方向に会合したものです。
分子量50万程度の膜タンパク質では、認識できるほどのpreferred orientationの問題が見られたことはありません。これはおそらく脂質二重膜が完全に平面ではなく、揺らぎがあることや、脂質二重膜の厚みが一定ではないなどの理由で、膜タンパク質が脂質二重膜に斜めに挿入されることが一定の割合で起こっていることなどが理由として考えられます。また脂質二重膜に膜タンパク質を保持することにより、気液界面から遠ざけられる効果が期待できますので、通常の手法ではpreferred orientationの問題の起こる膜タンパク質試料の問題を解決できることも期待できます。ただ横方向に広がった形態を持つサイズの大きな膜タンパク質複合体についてはこの手法に由来するpreferred orientationの問題が現れる可能性があります。
cryo-LSEMで効果的だと考えられる条件検討の種類は、膜タンパク質濃度、グリッド凍結時の各種パラメータなど、通常の手法と比較して限られるため、1-5回程度のグリッド調製実験により、成否を含め、その試料でcryo-LSEMによって到達できる分解能での構造解析の結果は得られると考えています。ですのでそれまでにご購入いただくライセンスの個数は1-5個程度だと考えています。
一般に膜タンパク質の構造解析は現在でも困難です。実際、ヒトゲノム中には6,000以上の膜タンパク質がコードされていますが、2024年末時点で構造決定されたヒトや哺乳類の膜タンパク質の数は250程度にとどまります。また一般にクライオ電子顕微鏡単粒子解析による構造解析ではpreferred orientationや凝集などの問題により、スムーズに構造解析できる確率は8%程度だと見積もられています。さらに、膜タンパク質の場合には炭素支持膜への吸着などの問題により、可溶性タンパク質よりも高濃度の1-5 mg/mlの程度の濃度の試料が要求されることも多い上に、膜タンパク質は濃縮が困難な場合も多く、成功率は可溶性タンパク質よりもさらに低くなると考えられます。一方、cryo-LSEMでは0.02 mg/ml程度の濃度の膜タンパク質でのデータ収集も十分に可能であると考えられるため、濃度の低い膜タンパク質試料についてはこの手法が構造解析の可能性を与えるベストな手法だと考えています。実際これまでに、通常の手法で構造解析できない0.03 mgの濃度の膜タンパク質試料を90倍以上グリッド上で濃縮し、中分解能での3D再構成に成功しています。また大腸菌AcrBについてもcryo-LSEMによって7 Å分解能での整合性のある密度マップの取得に成功しています。これまでに試した2例中2例において整合性のある密度マップが取得できていることから、cryo-LSEMでは凝集やpreferred orientationなどの問題も、濃度の問題と同時に解決できている可能性が高いと考えています。高分解能構造解析についてはまだ達成例がありませんが、これは実施例の数や実験回数が限られているためであり、より広範な膜タンパク質にcryo-LSEMが適用されていく過程で、高分解能構造解析の成功率も判明してくると考えています。当社は今後も技術ライセンスのご購入者様の成功のサポートに誠実に取り組み、成功率の向上を継続的に目指します。
一般に通常の手法では負染色による試料の検討がまず行われます。cryo-LSEMでも、事前に負染色による試料の性状の検討は有効だと考えています。ただし、LSEMを用いた負染色による検討で凝集が見られる場合でも、cryo-LSEMでは分散性が向上することもあるため、LSEMを用いた負染色試料の性状の確認は、行わずに進めるケースもあり、それでも3D再構成まで成功しています。
膜タンパク質溶液、脂質溶液、バッファーなどを準備できていれば、グリッド調製実験自体は通常のプロトコルでは各日3-4時間程度の作業で2日で完了します。
負染色によるLSEM実験では、これまでに試した20種類以上の膜タンパク質のほとんどについて、脂質二重膜への埋め込みを確認できています。
膜タンパク質試料へのタグやラベルの付加は必要ありません。
ライセンシー自身の研究・業務目的への使用に限られます。第三者への再配布・転売・サブライセンスは禁止されています。また、シリアル番号の第三者との共有・譲渡も禁止です。詳細は利用規約をご確認ください。
購入完了後の返金・キャンセルには応じられません。ご購入前に利用規約および技術仕様を十分にご確認いただきますようお願いします。
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イメージングの用途などのcryo-LSEM以外の用途、また特定の創薬上の目的の用途や包括的な共同研究など、別の形態でのライセンスの利用に興味のある方はお問い合わせフォームからご連絡ください。